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ほぼ出来上がっているが,第2章事故例は英国の担当委員の交代等により作業は遅れている。また,後述する日本造船学会と米国造船造機学会共催の国際シンポジウム等の新規に発表される研究論文の成果を取り入れて原稿内容をかなり書き直す必要もある。本委員会の主目標の一つである構造設計に関しては,日本の設計の専門家と米国の海運会社の工務の専門家によって第4章でかなりレベルの高い内容になっている,衝突・座礁に対する吸収エネルギーをーを上げるための構造設計の指針が検討されている。
上記のように作業内容を再検討するとともに,スケジュールの変更も検討した印なお,最終原稿の提出は97年2月15日である。
本委員会のISSC2000での作業継続の必要性に関しては委員全員が座礁・衝突事故の環境破壊防止の重大性は益々増大するとの認識で引き続き活動することが必要であると考え,理事会にその継続を提案することとなった。
なお,本会議における公式討論者候補者として次の人たちを推薦することにした,
Prof. P. Terndrup Pedersen(デンマーク)
Prof. Jorgen Amdahl(ノルウェー)
Prof. Tomasz Wierzbicki(アメリカ)
萩原孝一(日本)

 

2 日本造船学会(SNAJ)と米国造船造機学会の(SNAME)共催による国際会議「衝突と座礁止のための設計と方法論」

上記ISSCV. 4の中間会議のあとに日本造船学会(SNAJ)と米国造船造機学会の(SNAME)共催による国際会議「衝突と座礁防止のための設計と方法論」が,8月22日,23日の両日にわたり開催された会場はサンフランシスコ港のシンボル的な存在であるワールド・トレード・センターであった。
参加者は約90名で,その内22名は日本からの参加者であった。小規模な会議ではあったが,16のレベルの高い論文が各々30分以上掛けて発表され,また熱心な討論が行われ,非常に充実した会議であった。ISSCV. 4の委員による発表もいくつか含まれていた。日本からは大学からの基本的研究,造船業基盤整備事業協会のプロジェクト成果紹介と造船会社による設計に関する発表があった。最後には主要な船級協会の衝突座礁に関する研究成果をどのようにルールに取り入れるかの発表がGLのCEOを始め役員クラスによりあった。
昼餐には元SNAME会長のA.Haskell氏のスピーチと日本造船学会を代表して大坪が来年100周年であることを含めて話をした。
この様な両学会の共催による国際会議は初めての試みであり,今後これを契機に両学会の交流が盛んになることを期待したい。
なお,本会議は予算的には,SNAMEが全額を負担して,日本造船学会からの支出はなかった。議長のK. Michel氏の話によれば,proceedingsのみ企業等(海運会社等)からの寄付で,会場,昼食などは参加費で賄い,事務等はボランタリーに行われだそうである。

 

3 あとがき

夕方から時々刻々その色を変えていき,最後にイルミネーションで浮かび上がるベイブリッジと街のちりばめられた灯のサンフランシスコ湾をBank of Americaの最上階のレストランCarnelia Roomから眺めながら,シェブロンの工務部長が語った言葉が記憶に残る,「もし,ここでタンカーによる油汚染事故が発生したらと考えると,ぞっとします。勿論,タンカーは湾内ではタグボートで曳航されていますが。仮に事故が起きたら,ここでは海岸沿いの人だけでなく,内陸部の人も訴えるでしょう。見える景観が悪くなったとの理由で。」

 

 

 

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